日本介護事業連合会
会長 愛知和男
本年度、令和6年は医療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬が同時に改定されるトリプル改定の年であります。
今回のトリプル改定では現在の我が国が抱える「2025年問題」と「2040問題」を見据えた改訂となりました。
2025年は人口割合の多い団塊の世代が全て75歳以上になります。高齢化社会の様々な課題が医療・介護の現場に逼迫し崩壊しかねません。
また2040年には高齢者人口がピークを迎え社会を下支えする生産年齢人口が減少。この国における社会保障制度の維持・継続が困難になる危機的局面を迎えます。
今回の改定は、それらを見据えてポスト2025と捉えたトリプル改定となりました。
その中で介護保険制度改定へ目を向けてみますと「地域包括ケアの強化」「自立支援・重度化予防」「働きやすい職場環境の確保」「制度の持続可能性向上」が提示されました。
次期介護報酬の改定率はプラス1、59%ですが、訪問介護・定期巡回サービス・夜間対応型訪問介護では基本報酬を引き下げることになりました。
介護職員の人手不足が深刻化する中、他のサービスに対して訪問型介護の人材不足は顕著であり倒産も相次いでいる現状です。
さて、今回「働きやすい職場環境の確保」と「制度の持続性向上」が提示されましたが、人手不足と収益の悪化に伴い訪問型介護の持続が難しくなると、その分、居住型介護が成り立たなくなります。
しかしながら新しい制度では訪問介護と通所介護を組み合わせることで使える複合型サービスという新しいビジネスが生まれる可能性があるとのことです。デイサービスと同程度の設備があれば始められ、経営難の通所介護施設を新サービスに転換させる可能性もあります。複合型サービスは住み慣れた場所に住み続けられる高齢者を増やす地域包括ケアシステムの強化となり得ます。在宅中心の介護サービスを見直すきっかけになればと考えます。
さて、あらためて訪問介護の収益悪化と人手不足を考えてみますと、その皺寄せは居住型介護の恩恵を受ける働く世代に来るのではないでしょうか。
高齢者が今まで住み続けた家で介護が受けられなくなってしまうだけでなく、充分なキャリアを積んだ四十代後半から五十代から定年を迎える世代が介護に追われてしまうのです。
介護に疲弊し経験豊かな人材が離職に追い込まれるという人材流出は、企業にとって最も懸念する状態ではないでしょうか。
そこで日本介護事業連合会では会員企業様とその従業員の皆様に寄り添った介護離職者ゼロを目指した介護サポート支援サービスに取り組んでまいります。
企業側の環境整備のお手伝いや、公的な介護支援制度、どのようにして仕事と介護を両立させるか、それぞれに合った対応をしていくなど伴奏型で支援してまいります。
資料を添付いたしますのでご一読ください。
また今後セミナーやワークショップの開催など予定しておりますので、具体的に決定次第お知らせいたします。
是非とも会員企業の皆様におかれましては貴重な人材確保のためにもご活用ください。
【参考資料】
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